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2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

巌本善治『海舟座談』

新訂 海舟座談 (岩波文庫)岩波書店Amazon 勝海舟は幼い頃、野犬に陰嚢をかまれて死にかけ、生涯犬が苦手だったらしい。 万が一そこで死んでた場合、薩長連合軍により江戸は火の海になり、陰嚢の味を覚えて男子を次々襲う魔犬・ふぐり噛みの伝説まで生まれて…

上野千鶴子『差異の政治学』

差異の政治学 新版 (岩波現代文庫)作者:上野 千鶴子岩波書店Amazon 「男性学」の巻に、わたしはゲイ・スタディズの項目を立てた。そこで伏見憲明の 原稿の収録を依頼したところ、ご本人からお断りの返事を頂戴した。その理由は、「自分としては男性学もしく…

佐野眞一『巨怪伝』

正力松太郎と影武者たちの一世紀 巨怪伝 上 (文春文庫)作者:佐野 眞一文藝春秋Amazon 正力松太郎と影武者たちの一世紀 巨怪伝 下 (文春文庫)作者:佐野 眞一文藝春秋Amazon あの当時、マッカーサー司令部はヘソと呼ばれていました。朕の上に君臨するという意…

栗本慎一郎『パンツをはいたサル』

【増補版】パンツをはいたサル: 人間は、どういう生物か作者:栗本 慎一郎現代書館Amazon 京都大学の森教授が、興味深い話をしておられたので紹介しておこう。 「あるときサル学者たちが集まって、類人猿と人間とでは雑種ができそうだ、チンパンジーで実験し…

『孫子・呉子』

孫子・呉子 (中公文庫)中央公論新社Amazon 孫子は「物資はできるだけ敵地で略奪したほうがいいよ」とか「火攻め水攻めサイコー!」とか言ってるので、「孫子の兵法をビジネスに活かす」と言ってる人を見ると「ヤバ……近寄らんとこ……」って思っちゃう。

呉智英『読書家の新技術』

読書家の新技術 (朝日文庫)作者:呉 智英朝日新聞社Amazon 資本主義の会社に勤めている人。何の恥ずかしいことがあろうか。がっちり儲けて、そして読書をしてほしい。マルクスの著作を読んで資本主義の矛盾を知り、現状変革への情熱を燃やしてほしい、搾取の…

渡辺京二『北一輝』

北一輝 (ちくま学芸文庫)作者:渡辺 京二筑摩書房Amazon 松本清張はいう。「この著書の内容に『社会主義』の科学的理論を読みとることはできない。その文章に一種の張り扇の音が聞えるように、衒学的で空想的な社会主義である。 とすれば、北の『転向』という…

『アリストテレース詩学/ホラーティウス詩論』

アリストテレース詩学/ホラーティウス詩論 (岩波文庫)作者:アリストテレース,ホラーティウス,F.Q.,松本 仁助岩波書店Amazon アリストテレスって聞くとプロレスを連想してたのは何だったのかと思ったが、アリストトリストだ。 悲劇は行為の再現であり、行…

エドマンド・バーク『フランス革命についての省察』

フランス革命についての省察 (光文社古典新訳文庫)作者:エドマンド・バーク光文社Amazon 我々はマンガやアニメやゲームを見すぎているから、山奥の村の老人が「その神木を傷つけては……いかぁん!」って叫んだら、ああ、これはマジでヤバいやつだなってちゃん…

『世界の名著16 アウグスティヌス』

世界の名著 16 アウグスティヌス (中公バックス)作者:アウグスティヌス中央公論新社Amazon ずっと気になってるんだけど、期せずしてうんこ漏らしちゃうのって罪なんだろうか。社会的には(例えば満員電車内とか)罪っぽいけど、神学的には罪なのか。意識をし…

吉田洋一・赤攝也『数学序説』

数学序説 Math&Science (ちくま学芸文庫)作者:吉田洋一,赤攝也筑摩書房Amazon デカルトを「コギトの人」って考えるとすごいのかすごくないのかよくわかんなくなってくるけど、「ギリシアの幾何学の系譜と、インドの代数学の系譜を、解析幾何学によって統合…

『現代語訳 古事記』

現代語訳 古事記 (河出文庫)河出書房新社Amazon 俺はずっと「じ」にアクセントがあると思ってたんだけど、他の人は割りと「こ」にアクセントを置いて呼んでる場合が多い。「き」にアクセントを置く人はさすがに見たことがない。

大隅和雄『日本の文化をよみなおす』

日本の文化をよみなおす―仏教・年中行事・文学の中世作者:大隅 和雄吉川弘文館Amazon 鎌倉以前の日本仏教って「鎮護国家」という言葉で天皇・国家とガッチリと組み合ってるイメージだったので、「そもそも天皇の万世一系の系譜と、仏教の六道輪廻の世界観っ…

佐藤誠三郎『笹川良一研究』

笹川良一研究―異次元からの使者作者:佐藤 誠三郎中央公論社Amazon 「一休さん」のプロデューサーであった東映動画の栗山富郎によれば、エンディングの歌詞を母親に宛てた手紙の形式にするのは、作詞家のアイディアではなく、栗山がとくに出した注文であった…

スピノザ『エティカ』

エティカ (中公クラシックス)作者:スピノザ中央公論新社Amazon 「海外文学って登場人物が誰が誰だかわかんなくなるから苦手」っていう人が結構いて、そんなもんかなと思ってたけど、最近それがすごくよくわかる。加齢と共に着実に知力が低下してる。テレビに…