読書感想文

本を読んだ感想を書く

渡辺京二『北一輝』

松本清張はいう。「この著書の内容に『社会主義』の科学的理論を読みとることはできない。その文章に一種の張り扇の音が聞えるように、衒学的で空想的な社会主義である。 とすれば、北の『転向』という問題はその前提を失うわけである。これも案外に一般から見過されていて、彼の『若書き』による出発をすでに完成された社会主義者のように見る者が多い」松本健一はそれに答えてい う。 「しかし、北にとって、社会主義は理論ではなくて、信仰なのである。それがユートピア的色彩をおびるのは当然である」。

よう、ご両人、といいたくなるのは私だけではあるまい。めしいがふたりかけあいをやっているわけである。

渡辺京二北一輝について書いた本がおもしろくないわけがないが、それにしたって「思想史」にジャンル分けできる本でこんな罵倒語みたことあるか?