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2023-01-01から1年間の記事一覧

ピエール手塚『ゴクシンカ1・2』外山恒一『政治活動入門』

ゴクシンカ 1 (ビームコミックス)作者:ピエール 手塚KADOKAWAAmazon ゴクシンカ 2 (ビームコミックス)作者:ピエール 手塚KADOKAWAAmazon 政治活動入門作者:外山恒一百万年書房Amazon 顔と心に傷を負ってひきこもり同然の暮らしを送っていた男・手塚冷士が…

小島直記『日本策士伝』

日本策士伝―資本主義をつくった男たち作者:小島 直記中央公論社Amazon 明治・大正期の異常人物がたくさん出てきて楽しいが、やはりその中でも異常人物のチャンピオンは杉山茂丸である。 「君には今お会いしたばかりであるが、実は必要にせまられていることが…

福沢諭吉『福翁自伝』

福翁自伝 (講談社学術文庫)作者:福沢 諭吉,土橋 俊一講談社Amazon 裸体の事について奇談がある。 ある夏の夕方、私ども五、六名の中に飲む酒が出来た。すると一人の思いつきに、この酒をあの高い物干の上で飲みたいというに、全会一致で、サア屋根づたいに持…

『論語』と『論語と算盤』を見比べてみる

論語と算盤 (角川ソフィア文庫)作者:渋沢 栄一KADOKAWAAmazon 論語 増補版 (講談社学術文庫)作者:加地 伸行講談社Amazon 渋沢栄一『論語と算盤』の核は、孔子は金儲けを嫌ってなんかいないんだヨ、道徳と金儲けを両立させることは可能なんだヨ、というところ…

ヴィトルト・リプチンスキ/春日井晶子『ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語』

ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語 (ハヤカワ文庫NF)作者:ヴィトルト リプチンスキ,Witold Rybczynski早川書房Amazon 紳士にとって旋盤を回すことは、婦人にとっての刺繍のようなもので、一八世紀の終わりまで趣味として人気を保っていた。一…

奈良本辰也・杉浦明平・橋川文三『批評日本史<6> 吉田松陰――政治的人間の系譜』

批評日本史〈6〉吉田松陰―政治的人間の系譜 (1971年)思索社Amazon ヨッシーは色んな思想を好き嫌いせずパクパク食べ、弟子をポコポコと産みました。ヨッシーは悪を倒すための冒険を続けたけれど、目の前に広がった空隙を飛び越えられず、奈落の底に落ちて死…

藤代泰三『キリスト教史』

キリスト教史 (講談社学術文庫)作者:藤代泰三講談社Amazon 大変勉強になった。著者の歴史的な見解を踏まえることで、教理の理解が深まることが多々あった。例えば三位一体説がどうしてそんなに問題になるのか、よくわかってなかったのだけど キリストにおけ…

渡辺京二『夢と一生』

夢と一生 (河合ブックレット 42)作者:渡辺 京二河合出版Amazon この再春荘で出会った「忘れがたい人」には、ほかに岩波文庫のヘーゲル『小論理学』二巻を読み抜き、氏にとっては理解不可能なところに自己流の傍線を引いて自らの生きた証とした青年と、ろっ骨…

新渡戸稲造『世渡りの道』

世渡りの道 (文春学藝ライブラリー)作者:新渡戸 稲造文藝春秋Amazon 新渡戸の説く「世渡りの心得」をそのまま受け取っても悪くない(一部現代的にはキャンセルされかねない部分はある)が、明治期のインテリから見た「日本」の自意識、世界というものが垣間…

村上重良『日本宗教事典』

日本宗教事典 (講談社学術文庫)作者:村上 重良講談社Amazon 三種の神器、八尺瓊勾玉の項より。 箱の中は、天皇といえども見ることを禁じられ、箱に積った埃すら払ってはならないとされていた。 (中略)十世紀なかばの冷泉天皇は、箱の中を見ようとして紐を…

懐奘『正法眼蔵随聞記』

正法眼蔵随聞記 (ちくま学芸文庫)筑摩書房Amazon 欲望を爆発させた後に来る、いわゆる賢者タイムって「これが全ての欲得から開放された悟りなのでは?」と思う人は多くいると思うんだけど、「悟った後も修行を繰り返せ」「一事に集中せよ」「専心打坐あるの…

フロイト『精神分析学入門』

精神分析学入門 (中公文庫 フ 4-1)作者:フロイト中央公論新社Amazon フロイトの理論の是非は置いておくとして、まず、フロイトはとにかく話がうまいおっさんなのであって、この本はそれだけでおもしろく読める。 さて、はじめにみなさんをノイローゼ患者なみ…