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新渡戸稲造『世渡りの道』

新渡戸の説く「世渡りの心得」をそのまま受け取っても悪くない(一部現代的にはキャンセルされかねない部分はある)が、明治期のインテリから見た「日本」の自意識、世界というものが垣間見えるのもおもしろい。

傘の重量を減ずるためには、雪を承ける傘の重みをなるべく軽くすることが必要で、これがためには傘製造の材料を精撰して、成るたけ軽い物質を使用するごときも一法である。例えば五十本以上の鬼骨ある唐傘もあれば、四十本位のシゲ骨の蛇の目もある。丸骨の蝙蝠傘もあれば、溝骨のものもある。繻子を用いた重いものもあれば、甲斐絹の軽いのもある。今後は鯨の骨かアルミニウームの類を用いて、ますます軽くする時期も来るであろう。

明治のカーボンファイバー、鯨の骨。