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福沢諭吉『福翁自伝』

裸体の事について奇談がある。 ある夏の夕方、私ども五、六名の中に飲む酒が出来た。すると一人の思いつきに、この酒をあの高い物干の上で飲みたいというに、全会一致で、サア屋根づたいに持ち出そうとしたところが、物干の上に下婢が三、四人涼んでいる。これは困った、あそこで飲むと、彼奴等が奥に行って何かしゃべるに違いない、邪魔な奴じゃなといううちに、長州生に松岡勇記という男がある。至極元気のよい活潑な男で、この松岡のいうに、僕が見事にあの女どもを物干から送っ払ってみせようといいながら、真裸体で一人ツカツカ物干に出て行き、「お松どんお竹どん、暑いじゃないか」と言葉をかけて、そのまま仰向きに大の字なりになって倒れた。この風体を見てはさすがの下婢もそこにいる事が出来ぬ。気の毒そうな顔をしてみな下りてしまった。すると松岡が物干の上から蘭語で上首尾早く来いという合図に、部屋の酒を持ち出して涼しく愉快に飲んだ事がある。

他にも師匠の妻に全裸で応対した話など、数ある偉人の自伝の中でも、全裸エピソードに割かれたページ数は突出していることは間違いない。全裸青年男性が好きなあなたに。