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渡辺京二『夢と一生』

この再春荘で出会った「忘れがたい人」には、ほかに岩波文庫ヘーゲル『小論理学』二巻を読み抜き、氏にとっては理解不可能なところに自己流の傍線を引いて自らの生きた証とした青年と、ろっ骨を何本も削る大手術後の夜に杖にすがって病棟に姿を現すという命がけの冗談をやって、病棟の患者から大喝采を浴びた青年が、あるいとおしさとともに紹介されている。

「私が例をあげたあの青年の、手術の当夜に病棟に現れてみせるという「冗談」は、彼のうちにうずまいている何ものかの表現ではなかったのだろうか。このような民衆の非日常的なものへの感覚や衝迫は、階層を下降するにしたがい、市民社会から遠心的に疎外されるにしたがって、鮮明かつ強烈になる。」(「民衆論の回路」)

これ、今話題のお寿司ペロペロではないのか。